Archive for the ‘離婚のコラム’ Category

親権についての異例の判決の続報2

2017年07月14日

以前のブログで,親権について異例の判決が出されたことをお知らせしておりましたが,この判断は高裁で覆され,今般,最高裁でも高裁の判断が維持されました。

高裁では,「面会交流の意向だけで親権者を定めることはふさわしくない。別居前から主に母が長女を監護しており,長女の利益を最優先すれば親権者は母が相当だ」と判断されておりましたが,最高裁もこの考え方に異議を述べなかったことになり,非常に順当な判断だと思います。

子どもの親権指定を巡っては,一般的に子の意思や監護の継続性など複数の要素が総合的に考慮されますので,親権争いが生じた際には弁護士にご相談ください。

共働き夫婦の財産分与

2017年06月22日

離婚の際の財産分与は,別居時点においてお互いに有していた財産を2分の1にするのが原則ですが,共働きの夫婦の場合,婚姻開始時に,家計費及び家事を原則として半分ずつ負担することを約束し,その約束に従って生活していたということがあります。

この場合,生活費を平等に負担し,家事も平等に負担していたので,自分の負担額を除いて残った婚姻中の収入はそれぞれ自分のものであると主張したいのが人情だと思います。

しかし,裁判例によりますと,このような約束は,夫婦それぞれの婚姻期間中の各収入及びこれによって形成された財産が各自の特有財産になることを契約した趣旨と認めるに足りるものではないとされております(東京地裁平成16年3月15日判決)。

したがいまして,もし,婚姻前からのそれぞれの財産や婚姻中に取得したそれぞれの財産を,離婚時に財産分与の対象としたくなければ,結婚時にその旨の財産契約を結んでおく必要があるということになります。

現在の日本ではあまり結婚契約は一般ではありませんが,インターネットの普及などにより上記のような知識が一般的になれば,結婚契約も一般的になるのかもしれません。

財産分与について

2017年06月06日

離婚の際に相手方に請求できる金銭として,財産分与があります。財産分与には,扶養的な意味合いがある場合もありますが,多くは,婚姻中に形成した夫婦共有財産の清算としての意味合いです。

財産分与の計算方法は,原則として,別居時に存在していた夫婦双方の財産を足して2分の1とします。

多くの弁護士は単純にこれだけで計算してしまいますが,実は,事情によっては,別居時にはすでに存在していなかった財産を存在していたものとして計算する場合もあります。

東京地裁平成17年11月8日判決は,別居時にはすでに使ってしまって存在していなかった合計600万円につき,別居時に残っていたものとみなしてこの2分の1である300万円の財産分与の支払いを命じました。

具体的には,サラ金の借金の返済のために夫婦の共有財産である300万円がすでになくなっていましたが,借金は婚姻前からの個人の趣味のために生じたものであるから,この支出によって夫婦共有財産が300万円分なくなったものではなく,別居時にはなおその金額が残っていたものとしました。

また,自動車を購入するために個人財産から300万円を支出しているが,この購入代金は本来共有財産から支出されるべきものであり,共有財産としてこの代金相当額が残っているものと考えるのが相当としました。

財産分与は,実は奥が深いため,このブログでも色々と裁判例を紹介していこうと思います。

 

親権についての異例の判決の続報

2017年01月27日

以前のブログで,離婚後の子どもとの面会交流の頻度を重視して父親に親権を認めたという異例の判決についてご紹介しましたが,昨日,東京高裁で注目の控訴審判決が出ました。

結論としては,母親側の逆転勝訴となりました。

以前のブログで当職が批判していたとおり,面会交流の頻度のみで養育環境を変えるというのはやり過ぎです。東京高裁は,親権者を決める際の基準について,「これまでの養育状況や子の現状や意思を総合的に考慮すべきだ」と指摘し,「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきではなく,他の事情より重要だとも言えない」と判示しました。また,面会交流を「年100日」とする父親の提案では「長女の体への負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」と指摘し,「月1回程度」という母親の提案は「不十分ではない」と判示しました。そして,長女の現在の養育環境に問題はなく,引っ越しや転校をして環境を変える必要性もないことから,「長女の利益を最も優先して考えれば,母親を親権者とすべきだ」と結論づけました。非常に妥当な判決で安心しました。

もちろん,この判決を以てしても,親権決定の際には面会交流も重要な判断要素となりますので,面会交流については,子どもの福祉を最大限に考慮して決定することが必要です。

養育費や面会交流に関する手引書の配布

2016年09月29日

報道によると,法務省は,離婚する夫婦未成年子どもがいる場合の養育費面会交流に関する新たな手引書を作成し,10月1日から全国の自治体の戸籍窓口で対象者に配布するそうです。

手引書は,養育費の金額や支払期間,面会交流の頻度などを文書で取り決めるよう促し,合意書のひな型も添付しているとのことですが,当事者の話し合いだけではなかなか合意には至らないのが実情です。

以前のブログでも紹介したとおり,政府は養育費の支払いについて真剣に取り組む姿勢を見せています。離婚した女性が小さな子どもを育てていくのは想像以上に困難を伴うため,正当な養育費を支払ってもらうことは大いに意義があると思います。離婚問題でお困りの際には,まずは弁護士にご相談ください。

養育費の一括払い

2016年07月23日

養育費について,将来の支払いが不安だから一括で支払ってもらえるように請求できないかというご相談を受けることがあります。

結論から言えば,相手方の合意があれば可能ですが,一括払いを裁判所が認めてくれることはほとんどありません。過去の裁判例では一括払いを認めたものもないではないですが,父親が外国人であって将来外国に帰る予定があるなどの例外的場合です。

養育費は,日々発生する権利であるので,まだ発生していない分を請求することは原則としてできません。したがって,将来分の一括払いも認められないことになります。

また,仮に認められたとしても,贈与税がかかる可能性があります。

さらに,将来利息を控除されてしまうため,一括で受け取った場合には毎月受け取るよりも少ない額になる可能性が高くなります。

相手方の合意の元に養育費を一括で支払ってもらったとしても,贈与税がかかる可能性が高いので,一括で支払ってもらう場合には信託銀行の利用などを検討する必要があるでしょう。

養育費不払いへの対策

2016年06月07日

調停訴訟でせっかく養育費が決まっても,支払わない者が後を絶たず,社会問題化しています。

費用がかからない養育費不払いの対策として,養育費の支払いを裁判所が勧告や命令してくれる履行勧告履行命令という制度がありますので,養育費調停審判及び訴訟で決まった場合にはこれらの制度を利用してみる価値はあります。

履行命令の場合は,「正当な理由なく履行命令に従わない場合は10万円以下の過料が処せられる」との通知が裁判所から相手方に届きますので,相手方にプレッシャーをかける効果が期待できますが,それでも支払われない場合もあります。

履行勧告や履行命令でも効果がない場合,相手方の財産を差し押さえる強制執行手続を検討します。差し押さえやすい財産としては,預貯金給与・賞与があります。不動産を差し押さえる場合には60万円程度の予納金を裁判所に納める必要があるのですが,預貯金や給与の差し押さえの場合には予納金は必要ありません。

相手方の預貯金を差し押さえる場合,今までは相手方の預金口座がある銀行の支店まで特定する必要がありましたが,養育費の不払いが社会問題化したために国も業を煮やしたのか,とうとう,裁判所が金融機関に口座情報を照会して回答させる仕組みの導入を検討し始めたようです。早ければ今年の秋にも法制審議会に法律の改正を諮問するとのことですが,この制度が導入されれば,養育費不払いに対する有力な武器になりそうです。

離婚に伴う慰謝料

2016年05月24日

離婚と言えば慰謝料が思い浮かぶかもしれませんが,実は,離婚に伴って必ず慰謝料が発生するわけではありません。慰謝料は,婚姻を破綻させた原因となる行為に違法性がある場合にのみ発生します。

慰謝料発生の原因として一般的なのは,不貞行為同居義務違反暴力モラハラなどです。離婚原因として一番多いのは性格の不一致ですが,性格の不一致だけでは慰謝料は発生しません。

慰謝料の額を裁判官が決める際,算定要素とされるのは,婚姻の破綻原因,有責行為の種類・態様,程度,婚姻期間,婚姻生活の実情,双方の資産・収入の程度,未成熟子の有無,財産分与の額などと言われています。

したがいまして,婚姻中の出来事についてはなるべく日記やメモなどをつけておくことが望ましいです。離婚をお考えになっている方は,今からでも遅くはありませんのですぐに日記をつけましょう。日記は毎日でなくとも良く,相手方のひどい言動があった際のみでも構いませんが,相手方の言葉やこちらの言葉も含め,出来事のきっかけや経過をありのまま書いてください。具体的であるほど信用性が高まります。

なお,裁判で認められる慰謝料の額は500万円以下がほとんであり,100万円以下が最も多いと言われていますが,当事務所が関わった離婚事件では300万円前後が一番多いという感覚です。 当事務所は千葉県千葉市で主に千葉県全域の離婚事件を多く扱って参りましたので,弁護士をお探しの際はお気軽にご相談ください。ご相談料や弁護士費用についてはこちらのページをご覧ください。

親権についての異例の判決

2016年03月31日

千葉家裁松戸支部で親権についての異例の判決が出ました。離婚後の子どもとの面会交流の頻度を重視して父親に親権を認めたというものです。

事案は,夫と5年以上別居して8歳の女の子を育てていた妻が,夫に対して離婚と親権等を求めたもので,夫も子どもの親権を求めていました。

通常であれば,母親が8歳の子どもを5年以上も養育していれば,子どもの環境を変えない意味でも,母親に親権が認められることがほとんどだと思われます。 ところが,千葉家裁松戸支部は,お互いが相手に認める子どもとの面会交流の頻度を重視して,父親を親権者としました。

本件では,母親は,父親と子どもとの面会交流を月1回程度認めると主張したようですが,父親は,母親と子どもとの面会交流を年100回程度認めると主張したようです。 判決はこれを重視し,「両親の愛情を受けて健全に成長するのを可能にするために父親を親権者とするのが相当」と判断したそうです。

確かに,両親が離婚しても子どもとの親子関係はなくならないのですから,子どもの健全な成長のためには,面会交流の回数は多いほうが望ましいとは言えます。 しかし,離婚後に現実に面会交流を実施しようとした場合,子どもが1人で行動できるほど大きいならともかく,3~4日に1度程度の面会交流はあまりに親の負担が大きいため,月1~2回程度とするのが今までの判例であり,本件の母親の主張は極めて普通の主張です。

母親側はおそらく控訴するとは思いますが,東京高裁での判決が注目されます。

再婚禁止期間についての最高裁判決

2015年12月22日

先日,女性について離婚から6か月間は再婚できないと定めた民法の規定につき,100日を超える部分は違憲であるとの最高裁判決が出ました。

逆に言うと,100日間は女性にだけ再婚禁止期間があっても合憲だということになるのですが,これは,先日のDNA鑑定についてのブログに記載した,父親の推定期間と深い関わりがあります。

民法によれば,離婚成立から300日以内に生まれた子どもは前夫の子どもと推定され,婚姻成立から200日経過後に生まれた子どもは現在の夫の子どもと推定されます。

仮に,離婚と同時に再婚し,再婚から201日目に子どもが生まれた場合,離婚から300日以内でもあるので,子どもの父親は前夫なのか現在の夫なのか混乱が生じます。現在の科学技術をもってすればDNA鑑定も可能ですが,逆に言えば,DNA鑑定をしない限りは父親がどちらか決まりません。DNA鑑定が安くなったとはいえ,それなりの費用はかかりますし,鑑定のための期間も必要です。 最高裁は,このような混乱を望ましいものではないと考え,100日間は再婚禁止期間があっても合憲だと判断したものと思われます。

100日間の再婚禁止期間があれば,仮に再婚から201日目に子どもが生まれたとしても,離婚からは合計301日が経っているので,もはや前夫の子どもとは推定されず,混乱は生じません。200日目に生まれたとしても,まだギリギリ婚姻から200日が過ぎていませんので,現在の夫の子どもとは推定されず,混乱は生じません。

なお,あまり知られていませんが,離婚前から妊娠していた女性が離婚後に出産した場合,出産した日から再婚が可能になります(民法733条2項)。つまり,離婚成立の翌日に出産した場合には,その日から再婚が可能です。再婚した後に妊娠が判明した場合,通常であれば前夫との婚姻中の妊娠である可能性もゼロではありませんが,離婚成立後に出産した場合,出産後の妊娠は必ず離婚成立後の妊娠になりますから,混乱が生じないという理由です。

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