Archive for the ‘相続のコラム’ Category

相続廃除の審判を勝ち取りました

2017年07月10日

今般,私が遺言執行者として相続人廃除を申し立てていた事件につき,相続廃除審判を勝ち取りました。

事案としては,被相続人が,自分の子どものうちの1人を相続人から廃除する旨の遺言をしていたもので,私が遺言執行者となっておりました。

相続廃除とは,推定相続人から相続権を剥奪する制度であり,廃除された者は遺留分さえも失います(民法892条)。

Wikipediaに「家庭裁判所はこの申立てに対し慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例はそれほど多くない。また、相続廃除は遺言で行うことも可能であるが(民法893条)、推定相続人が異議申立てをすると認められない場合がほとんどであり、推定相続人が一切の異議を申し立てないか、重大な犯罪行為を犯して刑務所や少年院などの更正施設に収容されているようなことがなければ、相続権が剥奪されることは稀である。」と記載されているとおり,相続廃除の審判を勝ち取った弁護士はほとんどいないと思われます。

実際,今回の事案は,推定相続人が争った事案であり,更正施設に入っていた方でもなかったので,初めのうちの裁判官の反応は冷たいものでした。第1回目の期日で,裁判官から,「次回に推定相続人本人から意見を聞いて結審します。」と言われたくらいです。

しかし,私がしっかり反論したところ,風向きが変わり,その後も審理が続行しました。結局,申立てから審判まで,審理は1年弱行われました。

裁判所は廃除をなかなか認めませんので,勝訴は難しい事案ですが,自分の弁護士としての活動が実を結ぶと,やはり励みになります。

特別受益と持戻し免除

2017年06月09日

相続における特別受益については,以前のブログでもお伝えしましたが,大まかに言えば,ある相続人被相続人から贈与を受けていた場合には,相続財産を前渡しされているので,その相続人の相続分を減らすということです。

これには例外がありまして,被相続人が,生前,または遺言により,相続分を減らさなくても良いと意思表示していた場合には,特別受益を受けていても相続分は減らされません(持戻し免除,民法903条3項)。

そして,この意思表示は,黙示のものでも構わないとされているので,被相続人の明示の意思表示がなくとも,被相続人の生前の意思を推量して持戻し免除を認め,相続分を減らさないということがよくあります。

例えば,争いとなっている相続人双方に被相続人が生活の援助などをしていた場合などは,いずれについても持戻しを免除していたとされることがあります。

被相続人から生前に贈与や援助を受け,相手方から特別受益を主張されたとしても,黙示の持戻し免除の意思表示があったと主張することが可能な場合がありますので,相続人間で争いがある事例はなるべく早く弁護士にご相談下さい。

法定相続情報証明制度の概要

2017年04月24日

以前のブログにも書きましたが,いよいよ本年5月29日から法定相続情報証明制度の運用がスタートするようです。

法務省のリンクはこちらです。

詳しくは法務省の上記リンクのとおりですが,概要を説明いたしますと,相続に伴って銀行預金口座の名義を変更したり解約したりする場合,お亡くなりになった方が生まれたときからの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本の提出が必要だったところ,これらの書類をあらかじめ登記所に提出して認証を受ければ,登記所が発行する法定相続情報一覧図を銀行の手続で利用でき,分厚い戸籍謄本を提出する必要がなくなるというものです。

どちらにしても,一度は戸籍謄本等を全て取り寄せて登記所に提出する必要がありますので,不動産の相続登記を行った後で預金口座の名義変更や解約を行うような場合にしか利用場面が思いつきません。

不動産の相続登記と銀行預金の名義変更または解約を行う必要がある場合には,5月29日以降は,先に相続登記を行った方が提出書類が減って多少は楽になります。

法定相続人の範囲,順位と法定相続分の計算

2017年04月12日

基本的なことかもしれませんが,法定相続人範囲順位法定相続分計算で検索される方もいらっしゃいますので,再確認したいと思います。

相続人の範囲と順位

1.亡くなられた方(被相続人と言います。)がお亡くなりになった時点で,被相続人のお子様がご存命の場合,被相続人の配偶者(夫または妻)とお様が相続人となります。お子様はすでにお亡くなりになっているが,その方の子,つまり孫がご存命の場合,お子様の代わりに孫が相続人となります(代襲相続)。

2.被相続人がお亡くなりになった時点で,被相続人の直系卑属(子,孫,ひ孫)が初めからいないか,すでに全員がお亡くなりになっている場合,被相続人の直系尊属(親,祖父母,曾祖父母)がご存命の場合には,被相続人の配偶者直系尊属が相続人となります。なお,被相続人の親がご存命であれば,祖父母は相続人となれません。

3.被相続人がお亡くなりになった時点で,被相続人の直系卑属(子,孫,ひ孫)が初めからいないかすでに全員がお亡くなりになっており,かつ,被相続人の直系尊属(親,祖父母,曾祖父母)も全員がお亡くなりになっている場合には,被相続人の配偶者兄弟姉妹が相続人となります。

 法定相続分の計算

法定相続分の計算については,配偶者以外の相続人が誰かによって異なります。

1.配偶者と直系卑属(子,孫,ひ孫)が相続人の場合には,配偶者の法定相続分は2分の1,直系卑属の法定相続分は直系卑属全員合せて2分の1です(民法900条1項)。

2.配偶者と直系尊属(親,祖父母,曾祖父母)が相続人の場合には,配偶者の法定相続分は3分の2,直系尊属の法定相続分は直系尊属全員合せて3分の1です(民法900条2項)。

3.配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合には,配偶者の法定相続分は4分の3,兄弟姉妹の法定相続分は兄弟姉妹全員合せて4分の1です(民法900条3項)。

 

預貯金の遺産分割に関する最高裁判決の重要な変更

2016年12月20日

以前から当ブログで記載していましたが預貯金遺産分割審判の対象にならないとしてきた最高裁判決が変更されました。今後は,預貯金について相続人全員の合意が成立しなかった場合,裁判所が遺産分割審判を行うことになります。

このことを逆に言えば,今までは銀行に対して訴訟等で請求すれば自己の法定相続分にしたがって預貯金を引き出せたものが,今後は相続人全員の合意が成立するか裁判所での遺産分割審判が確定しない限り,預貯金を引き出せないことになります。

今回の最高裁判決の補足意見では,預貯金引出しの緊急の必要がある場合には,仮分割の仮処分(家事事件手続法200 条2項)等を活用することができると記載されておりますが,ご本人ではかなりハードルが高いので,弁護士に相談されることを強くお勧めいたします。

賃料収入の相続

2016年10月31日

賃貸物件を所有していた方がお亡くなりになった場合,死亡後の賃料を誰がどの割合で相続するかという問題が発生します。 特に,相続人間で話し合いがつかず,遺産分割調停も不成立となったときには,裁判所に決めてもらうしかないので,裁判所の考え方を知っておく必要があります。

通常,遺産分割調停が不成立となった場合には自動的に審判手続に移行し,裁判所が強制的に決定してくれるのですが,実は,死亡後の賃料については,相続人全員の合意がない限り遺産として扱わず,審判もしないというのが裁判所の考え方です。

以前のブログで,遺産分割の審判を求めることができない遺産について記しましたが,死亡後の賃料も,遺産分割の審判を求めることができないことになります。その理由は,「遺産」とは被相続人の死亡時に残されていた財産であって,死亡後に新たに発生する賃料は相続人の分割単独債権となるからということです(最高裁判所平成17年9月8日判決)。

そして,同判決は,賃料は発生時に各相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するので,後で異なる遺産分割をしても影響を受けないと判示しています。 つまり,例えば,遺産分割審判で賃貸物件を1人の相続人に相続させることにしたとしても,死亡後にすでに発生していた賃料については各相続人が相続分(通常は法定相続分)に従って取得できるのであって,賃貸物件を取得することになった相続人が遡って全部を取得するのではないということです。

賃貸物件については,賃料の他に管理費用等も発生するため,賃貸物件の所有者がお亡くなりになったときには速やかに,賃料が振り込まれる専用の銀行口座を開設し,管理費用等もすべてその口座から支出されるようにすると,後で裁判等になったとしても争点の複雑化が防げますので,お勧めいたします。詳しくは弁護士にご相談ください。  

法定相続情報証明制度

2016年07月06日

報道によりますと,法務省は,相続手続を簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)を来年度に新設するそうです。

現在は,被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など大量の書類一式を集め,登記所や各金融機関の窓口にそれぞれ提出する必要がありますが,新制度では,最初に書類一式を登記所に提出すれば、その後は登記所が発行する1通の証明書の提出で済むようになるとのことです。

ただ,新制度でも,一度は被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など大量の書類一式を集める必要がありますし,現在でも戸籍謄本などは手続時に原本を返してもらって使い回しておりますので,新制度にどれだけメリットがあるかは未知数です。少なくとも,私は,便利になったとは思いません。

預金の遺産分割についての最新情報

2016年06月27日

以前のブログで,預金遺産分割の対象とするとの合意がない限り遺産分割審判の対象にならないとする今までの判例が変わりそうだと書きましたが,最高裁での弁論期日が10月19日に指定されたそうです。年内に決定が出るかどうかというところだと思いますが,実務が大きく変わる可能性があるため,大いに注目されます。

(追記)

平成28年12月19日,最高裁判決が変更され,預貯金は遺産分割審判の対象になりました。

相続における特別受益とは(1)

2016年06月20日

亡くなった方の遺産を分割する割合は,通常,法定相続分に従うことになりますが,例外として特別受益寄与分というものがあります。

特別受益とは,共同相続人の中で,亡くなった方から遺贈や,婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として生前に贈与を受けた者がいるときは,その者が受けた贈与等の額をその者の相続分から控除することを言います。つまり,亡くなった方から相続財産を前渡しされているので,遺産分割での持分を減らすということです。

遺贈とは,遺言によって遺産の全部または一部を無償で譲渡することです。遺贈ではなく「相続させる」と遺言に書かれている場合でも特別受益の対象となります。

婚姻もしくは養子縁組のための贈与としてよく問題となるのは,持参金,支度金,結納金,挙式費用です。

持参金と支度金は,一般的には特別受益となりますが,その価額が少額で,亡くなった方の資産や生活状況に照らして扶養の一部と認められる場合には特別受益とはならないとされています。

結納金と挙式費用は,一般的には特別受益にならないとされていますが,あまりに不公平な額であれば特別受益になるでしょう。

生計の資本としての贈与については,次回,ご説明いたします。

遺産分割の前提問題 ー 相続人の範囲

2016年05月31日

遺産分割とは,亡くなった人の遺産相続人間で分けることですが,分割割合や分割方法を決める前に解決しておかなければならない問題が発生することがあります。

その一つが,相続人の範囲,すなわち誰が相続人かです。

相続人の範囲は法律で定められており,通常は戸籍謄本で明らかになりますが,まれに戸籍謄本の記載が実際と異なることがあります。

例えば,婚姻届や離婚届が勝手に出されている場合もありますし,以前のブログにも記載したように親子関係が存在しない場合もあります。他人の子どもを自分の子どもとして届出をしている場合もまれにあります。

このような場合,相続人であることに争いがなければそのまま遺産分割手続を進めて良いのですが,相続人であることに争いがある場合には,遺産分割の前に別の調停や訴訟で夫婦関係や親子関係を確定する必要があります。夫婦関係では婚姻無効確認や離婚無効確認ということになりますし,親子関係では親子関係の存否確認ということになります。これらの調停や訴訟は専門的であるため,弁護士に依頼する必要があるでしょう。

遺産分割前に戸籍を取り寄せ,実際の親子関係や夫婦関係とは異なる者が戸籍に記載されていた場合,その者が相続人でないことに争いがなければ,相続放棄をしてもらうことによって遺産分割とは別の調停や訴訟の必要はなくなりますが,相続放棄の期間は短いので,相続が発生したらすぐに戸籍を取り寄せて相続人調査を行うことをお勧めいたします。当事務所は相続事件を多く扱っており,相続人調査を行うこともできますので,ご遠慮なくご相談ください。

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