人身傷害保険と過失相殺

2019-09-18

ご自身の自動車保険で,人身傷害保険に加入されている方も多いと思います。人身傷害保険のメリットは,ご自身が自動車事故に遭った場合,ご自身に過失があったとしても,人身傷害保険の基準以内の額であれば,過失に関わりなく保険金を受領できることです。

一般に,人身傷害保険の基準額は裁判基準額よりも低額なため,人身傷害保険で賄えなかった分については,相手方に請求することになります。

相手方に請求する場合,すでに受領した労災保険金(特別支給金を除く)などについては控除されることになりますが,人身傷害保険金(人傷保険金)の場合には注意が必要です。

例えば,話を簡単にするために,裁判基準での総損害額が100万円で,過失割合が,相手方8,ご自身2,受領済みの人傷保険金が40万円とします。

この場合,ご自身の過失が2割なので,相手方が支払うべき過失相殺後の損害額は80万円となりますが,すでに40万円を受領しているからと言って40万円をそのまま控除して請求すると間違いとなります。

なぜなら,人身傷害保険は,自己の過失分も含めて支払ってもらえることにメリットがあるからです。

最高裁判所は,人傷保険金の額(上の例だと40万円)と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額(上の例だと80万円)との合計額(上の例だと120万円)が裁判基準損害額(上の例だと100万円)を上回る場合に限り,その上回る部分に相当する額(上の例だと20万円)の範囲で損害賠償請求権を代位取得すると判示しましたので,上の例だと,被害者は,相手方が支払うべき80万円から受領済みの人傷保険金のうち20万円を引いた60万円を相手方に請求できることになります。

つまり,被害者は,受領済みの人傷保険金40万円と合せれば,合計100万円,すなわち過失相殺がない場合と同額を取得できることになります。自己の過失部分については,人身傷害保険が負担したということです。

難しい話になってしまいましたが,このように,交通事故は専門的で複雑な処理を必要としますので,正当な賠償を受けるためには,弁護士にご依頼することをお勧めいたします。

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